微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

【在庫が利益になる】というカラクリ

こんばんは。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

==================


■7月に入り、


 今年もいよいよ後半のスタート。

 個人事業主の方については、
 12月が締めとなりますので、

 下半期の目標を立て直し、
 経営を見つめ直すのも
 よいかもしれませんね(^^)。

 

 かく言う私自身も、
 会計事務所の方は個人事業主ですので、
 しっかりと目標を再考し、
 その経営の行く末を見直したい

 と思っているところです。

 

 そこで今日は、決算にあたっての
 損益の把握の仕方について、
 誤りがちな部分についての
 お話をしていくことにいたします。

 


■まず大前提として、


 【お金の動き=損益ではない】

 ということ。

 

 これは何となくイメージが
 付いているのではないでしょうか。

 

 具体的に言えば、

 【売上についてはその仕事が終わり
 請求書を発行したタイミングで売上となる】

 ということ。

 

 例えば6月が決算月で、
 6月分に仕事をした料金が
 7月に入って入金されたとしても、

 これは翌期の7月の売上になるのではなく、
 当期の6月分の売上として損益を考えていく

 ということになるわけです。

 


■そして


 今日お話を進めていきたいのが、

 売上に『直接関係する』経費
 についてのお話。

 

 具体的に言えば、
 『仕入高』や『外注費』
 が該当します。

 

 当然、仕入れたからこそ
 売上が立ってくるわけで、

 外注に関しても、
 仕事があるから外注に振って、
 それが売上高に貢献してくる

 ということになるわけです。


 
 そして、ここで注意が必要なのは、
 
 【『売上』と、
 この売上に直接関係してくる
 『原価』については、
 必ず個別に対応している必要がある】

 ということ。

 

 例えば、パンを10個仕入れて
 3個売れたとしましょう。

 

 仮に1個1円で仕入れて、
 3円で売るとすると、

 10個仕入れたので10円の仕入
 3個売れたので9円の売上

 ということになりますよね。

 

 そうなると売上から経費を引いた結果が
 マイナス1円となり、
 何だかおかしな感じがするかと思います。

 

 そこで考えるべきが

 【在庫】。

 

 要は、売れたものは
 3個しかないわけですので、
 仕入れも3個にしてあげる

 ということ。

 

 そうなると、
 売上9円(3円×3個)
 仕入3円(1円×3個)
 利益6円。

 残りの7個(7円)は仕入からマイナスして
 商品という【在庫(資産)】に
 振ってあげることにより、
 その損益がきれいになる

 ということです。

f:id:everydayrunchange:20210702193736j:plain

 

 ‥ついて来れていますか?(^^;

 


■同じく


 『外注費』についても、
 売上高と直接関係している
 必要があります。

 

 例えば上述した
 6月決算法人の例でいくと、

 6月中に仕事が終わったものは
 6月分の売上高となり、

 その6月分の売上高に関係している
 外注費についても、

 【たとえ翌期7月に払ったとしても
 それは6月分の外注費として考える】

 というわけです。

 

 では、6月に仕事が終わらず、
 7月に請求が上がった売上について、
 6月中に外注費の支払いをした場合は
 どうでしょう。

 

 結論としてこれは、

 【6月分の外注費としてはカウントしない】

 ということになります。

 

 結局のところ、
 売上と直接関係している
 必要がありますので、

 仮に6月中に
 その外注費を支払ったとしても、
 それは単なる『前払金』と考える

 というわけです。

 

 【経費になるのは翌期】

 ということですね。

 

 
■よく決算についての
 相談を受けさせていただく中で、


 「とにかくその月中に
 支払いを済ませてしまえば良い」

 という考えになっているケースが
 少なからずあるのですが、

 

 これは『現金の動き=損益』
 という考えになっていますので、
 考えの根本が違っている

 ということになります。

 

 そして、

 【売上と原価は
 直接対応している必要がある】

 ということ。

 

 これは、会計を勉強している人でも、
 意外としっかりと理解できていない
 ケースが多いですので、

 しっかりとこの点にも
 注意しておくようにしましょう。

 


■よって、


 【仕入高や外注費を用いた節税
 というものは存在しない】

 ということなんですね。

 

 前払いしてもダメ(前払金になる)、 
 買いだめしてもダメ(在庫になる)・・・

 

 よく「物を買って節税する」
 と言われるのは、
 この『原価』の部分ではなく、

 販売費および一般管理費と言われる部分の
 『消耗品』などについて『費用』のお話。

 

 【消耗品については
 売上に直接関係しないので、
 また違った考えになる】

 ということなんですね。

 


■ということで


 今日は決算の対策にあたり注意すべき
 『売上』と『原価』の関係について
 お話をしてきました。

 

 しっかりと
 上述してきたようなことを念頭において、
 正しい知識を持って
 決算対策をするようにしましょう(^^)。

 


------------------

 

 

《本日の微粒子企業の心構え》


・『売上』と『原価』
 (売上に直接関係する仕入高や外注費)
 については、

 【個別に対応】

 している必要がある。

 


・よって、
 仕入高や外注費の原価を用いた節税
 については基本的に存在しない。

 


・上記の点は税務調査でも
 指摘される事項でもあるため、
 そういった面でも
 十分な注意が必要であるもの
 と心得ておくべし。

 


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

 

 

これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^

ブログ | 福岡で税理士をお探しの方、会社設立をするなら村田佑樹税務会計事務所



また、こちらの記事は毎日メルマガとして
配信中です。
よかったら、こちらよりご登録くださいませ(^^)

微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス



起業準備中から起業5年目までの経営ドクター
税理士 村田佑樹