微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

経営の未来を見据えた【備品】の会計処理について

おはようございます。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■「これで少しは決算書の見栄えが
 良くなりましたね。」

 

 法人の決算にあたっては、
 『節税対策』のほか

 【決算対策】

 をしていきます。

 

 節税対策は読んで字の如く
 『税金の対策』なのですが、

 『決算対策』とは、
 (これは私の定義ですが)

 【金融機関からの融資を見据えての対策】。

 

 その決算対策の中でよく話題に上るのが、
 『事業で使用する備品』についてのもの。

 

 なんだか仰々しいタイトルに
 なっちゃってますが(笑)、 

 今日はそんなことから
 お話を進めていくことにいたします。

 


■備品などについては、


 『10万円』という金額のラインにより、
 その取り扱いが異なることになります。

 

 ここからは『青色申告である』
 という前提でお話を進めていきます。

 

 今回の話は、法人であれ、
 個人事業主青色申告であれ、
 共通するお話ですので、
 ぜひお役立てください(^^)。

 

 
■事業に使用する備品
 (パソコン・プリンター・オフィス家具など)
 については、

 その金額が10万円未満であれば、
 これは少額のものとして
 全額『消耗品費』などとして
 経費として計上することができます。

 

 逆に、10万円以上のものになると、
 これは高額であり、

 その備品などを使用することによる効果も、
 当期だけではなく、
 翌期以降も現れてきますよね

 

 ということで、

 一旦『資産』として計上し、
 これを『減価償却』という方法により、
 その資産としたものをだんだんと経費化
 (『減価償却費』と言います)していく

 という手続きをとるわけです。

 


■上述したように


 【10万円以上のものは資産】

 と考えるわけですが、例外もあります。

 

 その例外とは、

 10万円以上であっても
 『30万円未満』のものであれば、
 これは青色申告においては
 『少額なもの』と捉え、

 【少額減価償却費】

 などとして、
 その買った期において
 全額経費とすることが可能となります。

 

 ただし、この『少額減価償却費』
 にあたるものに関しては、

 その明細書を作成するとともに、
 個人事業主の確定申告書や、
 法人税の申告書にその旨を記載した資料を
 添付するなどしないといけないので
 注意が必要です。

 


■そして


 もう一つ例外が。

 

 それは10万円以上であっても
 『20万円未満』のものであれば

 【一括償却資産】

 として資産として計上することができる
 ということです。

 

 『資産として計上する』
 というのは同じなのですが、

 この一括償却資産は、

 【耐用年数を問わず、
 すべて3年間で均等償却をする】

 こととなります。

 

 一方、通常の資産
 (『工具器具備品』という
 勘定科目を用います)については、

 国税庁が定めている耐用年数によって
 償却していきますので、

 【その減価償却費となる金額は、
 その資産の耐用年数によって異なる】

 ということになるわけです。

 

 ちなみに、こちらが国税庁が定めている 
 耐用年数。

 

 

www.keisan.nta.go.jp

 


■そして、


 冒頭の金融機関の融資に伴う
 決算対策のお話に戻るのですが、

 仮に『25万円』のエアコンを
 購入したとしましょう。

 

 これは、
 『節税』という面からいけば、

 上述した『少額減価償却費』として
 25万円全額が経費計上できるので、
 全て経費にして利益を抑えるべきですよね。

 

 しかしながら、

 【利益が出て納税をしている方が
 金融機関の融資の評価面では有利】
 
 となります。

 

 このようなことから考えると、

 【少額減価償却費とはせずに
 あえて資産計上することにより、

 エアコンの耐用年数が
 5年で定額法であったとしたら、
 25万円を5年で割った5万円が
 毎年の経費(減価償却費)】

 となってきます。
 (あくまでも、ざっくり説明しています。)

 

 そのようなことから考えると、
 仮に当期中にこのエアコンを購入した場合、

 【当期の経費として見えてくるのは
 5万円だけにになる】

 というわけです。

 

 少額減価償却費で
 節税対策を見込んだとしたら
 25万円が経費。

 

 そうなると、
 この25万円と5万円の差である20万円が、
 当期の利益に上乗せされる
 (経費が少なくなるため)

 ということになるわけですね。

 

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■決算にあたっては、


 節税対策ももちろん重要なのですが、
 『金融機関の融資』などを
 見据えた際は、

 逆に節税をせずに、こういった

 【融資を見据えての決算対策】

 をすることも必要となります。

 

 税金はマイナスイメージが強いのですが

 【融資により他人のお金を
 利用させてもらうことにより、
 その経営が加速していく】

 ということも考えられるんですね(^^)。

 

 というわけで、
 しっかりと経営の全体を俯瞰して
 決算にあたっての適切な
 対策をしたいものです。

 


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《本日の微粒子企業の心構え》

 


・決算にあたっては
 『節税対策』のほか、
 
 【金融機関からの
 融資を見据えた決算対策】

 も必要であるものと心得ておくべし。

 


・その中で検討項目となることが多いのが、
 『10万円以上の備品』について。

 

 これについては、会計上や税務上の
 上述してきたような取り扱いを
 しっかりと念頭におきながら、
 
 【自分の会社にとって何が真に必要なのか】

 ということを適切に考え、
 その決算の対策をしていきたいものである。

 


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

 

 

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