微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

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法人成りの際の【人件費】について

おはようございます。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■事業の規模が大きくなってくると、


 個人事業主から法人成りを検討しよう
 とする動きも見られることかと思います。

 

 法人成りに際しては
 いろいろな注意点があるのですが、

 今日はその中でも『人件費』について
 考えていくことにいたします。

 


個人事業主と法人で
 最も異なってくる人件費のことは…
 と言えば、


 【社会保険に加入すべきかどうか】

 ということ。

 

 もしあなたが法人成りをしたとして、

 通常の労働時間の4分の3以上の時間
 勤務している従業員の方がいるとすれば、

 その従業員の方は
 
 【社会保険に加入する義務がある】

 こととなります。

 

 個人事業主であれば、一定の規模までは
 社会保険に加入する義務はなく、

 たとえ上述した
 4分の3以上であったとしても、
 そのまま社会保険に加入せずに
 事業を続けていくことができるんですね。

 

 しかしながら法人はと言えば、
 決してそうではなく、

 【原則として
 社会保険に加入しなければならない】

 ということになっているわけです。

 

 「原則として」と述べたのは、
 上述した労働時間が4分の3未満であれば、
 それはそもそも社会保険の適用の対象外
 となりますので、

 そういったケースは
 社会保険に加入する必要はない
 ということ。

 

 労働時間については
 もう少し詳しい決まりがあるのですが、
 あくまでも大枠を捉えてくださいね(^^)。

 


■では、


 社会保険に加入すると
 どのようなことが変わってくる
 のでしょうか。

 

 社会保険の仕組みとしては、

 『健康保険』と『厚生年金』

 の二つからなっており、
 この合計の料率が
 
 【人件費の約30%】

 となっています。


 
 …まぁまぁ高いですよね(汗)。

 

 そしてこの30%を、
 会社と従業員とで折半します。

 

 したがって、従業員の負担を除いた
 会社分の負担である15%が
 人件費に上乗せされるような感覚。

 

 そのように考えると、

 【人件費の115%として
 トータルの人件費を見込む必要がある】

 というわけです。

 

 もう少し突っ込んでみると、
 『雇用保険』や『労災保険』についても
 対象となるわけですので、

 【トータル120%ほどの人件費】

 と見ておいた方が良いかもしれません。

 

 ちなみに、雇用保険労災保険
 ひっくるめて、
 『労働保険』と言います。


 これも覚えておくと良いですね(^^)。

 


■それと同時に
 考えなければならないのが、


 代表者であるあなたへの給与である
 『役員報酬』について。

 

 役員についても、原則として
 社会保険の加入義務があります。

 

 そして、役員に関しては
 労働時間の規定などはないため、
 上述したように

 『原則として
 社会保険に入る義務がある』

 というわけです。


 
 そして結局は
 あなた自身の会社ですので、

 【会社負担の15%と従業員負担…
 つまり社長である自らの負担15%を合わせた
 トータル30%の負担をする必要がある】

 ということに。

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 このように考えると、

 【法人成りをすることにより、
 人件費が大きく増えていく】

 ということが分かるかと思います。

 

 そして、従業員が
 『社会保険に入る』
 ということに対して、

 【その従業員本人が
 どのように感じているか】

 ということもしっかりと
 ヒアリングしておく必要があるでしょう。

 

 場合によっては、
 『社会保険に加入する』ということに
 否定的な意見を持っている
 可能性もあります。

 

 そういった場合に、
 どのように解決していくか
 ということもまた、
 考えるべきことかもしれませんね。

 


■簡単ではありますが、


 人件費について、
 主に社会保険料についての
 法人成りの検討すべき事項を
 見てきました。

 

 しっかりと、上述したような

 【社会保険料の実質的な負担】

 も考慮しながら、
 その法人成りを検討するように
 しましょう。

 

 …上述したのはあくまでも人件費
 だけのこと。

 

 実際にはいろいろと税金や
 その他の要素を含めて検討して、
 法人成りを考えていくことになります。

 


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《本日の微粒子企業の心構え》


・法人成りを検討するにあたり、

 【社会保険への加入が
 原則として強制される】

 ということを心得ておくべし。

 


・従来個人事業主の際は
 加入していなかったものに
 加入することになるため、

 

 【従業員の考えをヒアリングし、
 どういった方向性で
 動いていくのが良いか】

 ということもまた
 しっかりと検討すべし。

 


・会社負担分の社会保険料については、
 『法人の経費』となるため、
 いろいろな方面から
 その有利性を判断して、


 的確な判断をした上で
 法人成りを検討すべきであるものと
 心得ておくべし。


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

 

 

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よかったらご覧くださいませ。^^

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