微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

役員報酬決定の際の社宅家賃の検討

おはようございます。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■以前の記事の中で、


 法人の役員報酬を決定する際は、
 実質的に役員報酬
 つまり給料以外の方法で
 法人から個人にお金を移すことができる、

 いわゆる『出張日当』と『社宅家賃』
 を考慮してその額を決めるべきである

 ということを書かせていただきました。

 

 その『社宅家賃』について、
 お尋ねがありましたので、
 今日はそのことについて
 少し深く見ていくことにいたします。

 


■『社宅』とは


 読んで字の如くなのですが、

 【法人がその法人名義にて
 役員や従業員が住む住宅の契約する】

 というもの。

 

 当然法人の持ち物ですので、
 それは原則として経費となるわけです。

 

 しかしながら、実際のところは
 その役員や従業員が住んでいる
 ということから、

 『その役員や従業員から
 住宅家賃を徴収すべきである』

 というのが基本的な考えとなります。

 


■では、


 どの程度の金額を徴収したら
 良いのでしょうか。

 

 これは通常であれば、
 その住居に住んでいる
 ということを考えると、

 『家賃の全額をその住んでいる人が
 負担すべきである』

 という考えになりますよね。

 

 しかしながら、
 社宅にしているということは、

 その会社が福利厚生といった意味合い
 をもとにその契約をして、
 役員や従業員を住まわせている

 ということから、
 なるべくその家賃負担を低く抑えたい

 という考えが根底にあるわけです。

 


■そこで


 税務署が原則として定めているのが、

 【その法人が負担する家賃全額の50%…
 つまり最低半額を負担してくださいね】

 ということ。

 

 しかしながら、
 よほどの豪華な社宅でない限りは、
 一定の方法により計算することにより、
 その役員や従業員から負担する家賃が

 【10%弱から20%ほどの範囲内で済む】

 ということになります。

 

 具体的な計算方法は、こちらの
 国税庁のサイトに載っていますので、
 参考にされてみてください。

 

 役員の場合↓
 

  

www.nta.go.jp

 

従業員の場合↓
 

www.nta.go.jp

 何やら難しい算式ではありますが(汗)、

 この算式通り計算をすると、
 大抵私の経験上でいくと、徴収する家賃が
 上述したように
 10%弱から20%の範囲内になります。

 

 

■そして、


 この計算の根拠となる数字は
 どこを参考にするか
 というお話なのですが、

 これは、その社宅が所在する
 市区町村の役場にその社宅の

 【固定資産評価証明書】

 というものを
 取り寄せていただくことになります。

 

 その評価証明書に、
 上記のサイトに載っている情報が
 集約されていますので、

 法人契約で住宅を契約した上で、
 その固定資産評価証明書を
 取り寄せるようにしましょう。

 

 この固定資産評価証明書については、
 大家さんのみが取得できるものではなく、
 借りている法人であっても
 取得することが可能です。

 

 たまに

 「大家さんでないと証明書は出せません!」

 と役場から言われるケースがあるのですが、
 決してそんなことはありませんので、
 折れずに交渉してくださいね(笑)。

 

 その取得の際は、住んでいることの
 証明書として、

 【賃貸借契約書】

 を持参するようにしましょう。

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■以上が、


 役員や従業員に貸す
 社宅についての詳細でした。

 

 これは

 【法人が住宅を直接借りて
 法人名義で契約をする】

 ということが条件となりますが、

 通常は役員報酬をもらって
 その役員報酬から住宅家賃を支払う一方、

 この方法で行くと、
 通常家賃の2割程度の個人負担で、
 その家賃の支払いができるわけです。

 

 仮に10万の家賃だと、
 まず10万の役員報酬をもらって
 そこから個人で家賃を負担するのが
 通常ですが、

 2割負担だと、2万の役員報酬をもらって
 家賃の負担をし、
 残りの8万は法人が負担してくれる
 わけです。

 

 しかも、この8万については
 法人の経費となりますので、
 法人の税金も浮いてくる

 ということになるわけですね。

 

 役員報酬には、所得税や住民税、
 社会保険料がかかってきます。

 

 これらがまるまる浮いてくる 
 ということ。

 

 また、社会保険料は法人と折半での
 負担ですので、
 法人の社会保険料もその分安く 
 なるわけです。


 
 結構すごい節税効果ですよね(^^)。

 

 しっかりとこの法人名義の社宅は
 有意義に利用して、
 上手な役員報酬の決定と節税を
 したいものです。

 


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《本日の微粒子企業の心構え》


役員報酬を決定するにあたり

 【法人名義の社宅】

 は絶対に検討したい項目の一つである。

 


・原則として
 社宅家賃の全額が法人の経費となるが、
 その一方でそこに住む役員や従業員からも
 家賃を徴収する必要がある。

 


・よほどの豪華社宅でない限りは、
 かなり少ない家賃の徴収で済む
 ということが一般的なので、

 

 しっかりと
 『固定資産評価書証明書』を取り寄せて、
 その税務上認められる
 最低の家賃を計算して、
 有意義な節税をしていきたいものである。

 


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

 

 

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