微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

個人事業立ち上げでソンしない技

 

決意新たに事業を立ち上げよう!ということで、個人事業主のスタート。
準備などは整っていますか?
考える前にまず行動!という姿勢は素晴らしいのですが、お金のことは慎重に。
飛ぶ前にしっかり考えることもすごく大事。
今回は個人事業の開始に当たってやっておくべきことについて、考えていきましょう。

 

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【税務署への届出】
(1)個人事業の開業・廃業等届出書
  事業を始めて1月以内に、住所地を所轄する税務署長へ届け出ます。
  この住所地を納税地といいます。特別なことがない限り、通常は今住んでいる住所地が納税地となります。
  期限は1月以内。ただ、もし忘れてれば遅れて提出してもOKです。


(2)所得税青色申告承認申請書
  これは何はさておきめちゃくちゃ重要な届出です!三度のごはんよりまずこれを提出してしまいましょう。
  青色申告を取ることで受けれらる恩恵は数多くあります。

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  そして、この提出期限は次の通りです。
  ① 1月1日から1月15日までに事業を開始した場合・・・その開始した年の3月15日まで。
  ② 1月16日以降事業を開始した場合・・・その事業を開始した日から2月以内。
  となっています。
  期限が決められているので、事業を開始したらまずこの手続きを(1)の開業届と同時に提出しちゃいましょう。


(3)青色事業専従者給与に関する届出書
  親族(配偶者や子どもなど)に給与を払って経費にしようとする場合には、この届出書を提出しなければなりません。
  さらに、金額についての制限があります。

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  必要経費となる青色事業専従者給与額は、支給した給与の金額が次の状況からみて相当と認められるもので、しかも、この届出書に記載した金額の範囲内のものに限られます。
  (1) 専従者の労務に従事した期間、労務の性質及びその程度
  (2) あなたの事業に従事する他の使用人の給与及び同種同規模の事業に従事する者の給与の状況
  (3) 事業の種類・規模及び収益の状況
  (国税庁HPより。)

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  ここに「相当と認められるもの」という文言がありますが、これが実にいやらしい・・・
  この届出書だけでなく、多くの税法上の規定でこの言い回しが登場してきます。
  ぼかしですね。金額はいくらからいくらまでですよ!などという明確な規定がないわけです。
  ここがいわゆるグレーゾーンというものが存在している所以です。
  簡単に言えば、普通の人が普通に見ておかしくない程度の金額にしてね、ということです。
  普通って何!?という議論はここではおいておきますが、簡単に言うとそういうことです。

一点注意してほしいのは、この専従者給与を払っている人は、配偶者控除や扶養控除を受けられないということです。

専従者給与を払うのと、配偶者控除や扶養控除を受けるのとどちらが得になるのか、しっかり検討したいところですね。


(4)給与支払事務所等の開設届出書
  (3)の親族に払う専従者給与や従業員に給与を支払うことになった時に提出する届出書です。
  「これから給与を払っていきますよ~。」と税務署に意思表示をするための届出書と思っていただければ結構です。


(5)源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
  サラリーマンをしていた方ならわかると思いますが、給与を支払う際には源泉徴収がされます。
  この月の給料なら、ざっくりこれ位の所得税だよね、ということで、概算の所得税が給与から天引きされるんですね。
  そして、この天引きされた1年間の所得税と年間のはっきり確定した所得税とを比較して、還付したりするのが「年末調整」というわけです。
  これが、今度は自らが事業主として、給与支払の際に源泉徴収をしていくことになります。
  そして、事業主は原則としてその源泉徴収した金額をその月の翌月10日までに税務署へ納付していくことになります。
  ただ、これは結構面倒ですよね。毎月の手続きですから。

  そこで、給与を払う従業員が常時10人未満である事業者であれば、例外的に毎月納付すべきところを、半年に一度の納付でいいですよ、としてくれる制度があります。
  この半年に一度の納付の規定を受けるために提出するのが、この届出書。
  当面は10人未満であることが多いと思うので、この届出書は提出しておくことをお勧めいたします。

 

地方自治体への届出】
  住所地のある都道府県庁「個人事業税に係る開業等報告書」を提出します。
  自治体によって様式や名称が違うので、「個人事業を開始したので開業届を出したいのですが。」と問い合わせてみましょう。
  都道府県庁への届出をすれば、大半の自治体においては、別途市区町村への届出は必要ありません。 
  ただ、例外もありますので、念のため市区町村へお問い合わせ下さい。
  この届出書は忘れないように、税務署の届出書と一緒に提出することをお勧めします。

 

ざっと、こんな感じです。
そして、税務署も地方自治体も自身の控用のものをコピーして、提出する際に受付印をもらっておきましょう。
これが、「開業しました!」という証明になりますので、くれぐれもお忘れなく。