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消費税の会計処理でソンしていませんか?②

前回の消費税の続きです。

税込経理と税抜経理はどっちが有利?とのことで検討してきましたが、
税込経理が有利(?)となるケースがあります。

それは、

固定資産を買った場合、税込経理の方が利益が大きくなるという点です。

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例を挙げましょう。

 

当期において、

売上1,000万円(税込1,080万円)、仕入600万円(税込648万円)、車の購入200万円(税込16万円)という取引があったとします。


これを税抜経理と税込経理に分けて考えていきます。

 

1.税抜経理
売上1,000万円-仕入600万=400万円の利益
車は30万円以上なので、減価償却資産ですね。経費にはなりません。
税抜経理とは読んで字のごとく、消費税は抜いているので、上記のような税抜の単純な計算になります。

 

2.税込経理
税込経理は、いったん損益を税込で出して、その後納付する消費税を経費として考えていく方法です。
よって、
売上1,080万円-仕入648万円=432万円の利益
納付すべき消費税は、売上から預かった消費税80万円から支払った仕入の消費税48万円と、車購入の消費税16万円を差し引いて計算します。
80万円-(48万円+16万円)=16万円。
この16万円が税務署へ納付すべき消費税となります。
したがって、最終的な損益はというと、
432万円-16万円=416万円。
416万が利益となります。

 

3.まとめ

整理しますと、税抜経理での利益は400万円で、税込経理の場合は416万円となります。
ここで出た差額16万円は何の数字でしょうか?


そうです、これは車の購入の際に支払った消費税16万円と一致しますね。

 

要は、税込経理だと車などの固定資産の購入があった場合、その固定資産の消費税分だけ利益が大きくなるということ。
利益が上がるとその分法人税等が発生してきます。
ただ、対外的な取引先や金融機関から見ると、利益が上がっている方が数字はよく見えます。

 

とは言っても、税抜経理だと30万円未満の固定資産の判定や、一人当たり5,000円以下の飲食費の判定では税抜経理が有利となりますので、よく考えたいところですね。


ちなみに私は、税抜経理をお勧めしています。


なぜかというと、「実際の損益が見えにくいから」です。
そして、やはり固定資産の30万円や5,000円の飲食費の判定から有利なためです。

 

あくまでも、知識の一つとして、このようなことを知っておけばよいかと思います。