微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

税務署の身代わりになる一瞬がある

「なんでこんなに還付しないといけないの?」
というのは、年末調整を終えて還付金を報告した社長の嘆き。
「そりゃ、会社が税金を預かっているからでしょ。」
というのはもののの道理。
でも、本当にそれだけが理由でしょうか。

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1.年末調整は従業員個人の所得税の精算

会社より支払う給料から源泉所得税が天引きされる。
この天引きした源泉所得税に比べ、年末調整の計算をして所得税年間トータルの税額が少なければ、還付されるわけですね。
そうなると、単に会社は預かった分を返すだけだから痛手はないはずです。

 

2.例外もある
ただ、必ずしもそれだけの話に留まりません。
それは、従業員に前職があるケース。
28年中に退職して、28年に自社に就職していれば、自社の年末調整で前職分を含めて計算をすることになります。


例を挙げましょう。
28年10月までA社(前職)で28年11月よりB社(現職)。
となると、B社にてA社分を含めて年末調整をすることになります。
A社での源泉徴収税額(源泉徴収された所得税)が50万円、B社での源泉所得税額が10万円とします。
この従業員が住宅ローン減税などを利用したため、所得税の年税額が0円となり、A社及びB社の税額60万円全てが還付となる。
こうなると、年末調整の仕組み上、B社で天引きした(つまり、B社が従業員から預かっている)10万円のみならず、A社分の50万円までも還付しなければならないわけです。

 

3.前職分は立替払いになる
おかしいですよね?
B社が預かった10万円の他、50万円を会社から還付しないといけない・・・
50万円お金が消えていくことに。


でもこの50万円。
税務署に納付する所得税から差し引くことができます。
もし今回納付する所得税から差し引けない場合は、その次の納付分から差し引いていきます。

 

4.つまり、ソンはしてない
そういうわけで、前職分多めに還付したとしても、長い目で見てお金はソンしていないことになるわけです。
ただ、一時的な資金繰りはキツくなりますね。


新入社員がいて、なおかつ、住宅ローン減税などでその新入社員の還付が多いと、このようなことが起こり得ます。
所得税の支払いで会社がソンすることはありませんので、なぜそうなっているのかを冷静に考えてみましょう。

 

立替払いは税務署だから許せるもの。
税務署が潰れない限り、貸し倒れることはありませんからね。

 

ただ、生身の人には注意が必要。
やはりトラブルを避けるためにもお金の立替(貸し借り)はしたくないものです。