微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

生命保険で退職金を準備することの節税効果②

「結局・・・ソンなの??」


昨日の、経営セーフティ共済や生存退職金についてのお話の続き。

節税対策として、生存退職金を全額損金型の生命保険で準備する、というものがありますが、
これを具体的に見ていくことにします。

 

 

1.生存退職金を生命保険で準備する

 

利益がコンスタントに3千万円上がっている法人を例に見ていきます。

生存退職金に備えての生命保険での準備は、だいたい役員の退職に合わせてピークが組まれているもの。


ここでは、

3,000万円(年300万円)の保険料を払い込んで、

10年後にその70%の2,100万円が戻り、

退職金を同額2,100万円支払う

という設定を例に見ていきます。

 

【1-9年目】
利益 3,000万円
保険料 ▲300万円
差引利益 2,700万円×9年=24,300万円の利益

 

【10年目】
利益 3,000万円
保険料 ▲300万円
返戻金 2,100万円
退職金▲2,100万円
差引利益 2,700万円

総利益24,300万円+2,700万円=27,000万円

 


2.純粋に生存退職金のみを支給する

 

上記のように、生命保険を使わず、退職金を10年後に2,100万円支払うケースを見ていきます。

 

【1-9年目】
利益 3,000万円×9年=27,000万円

 

【10年目】
利益 3,000万円
退職金 ▲ 2,100万円
差引利益 900万円

総利益27,000万円+900万円=27,900万円

 

 

3.結果として

 

生存退職金を生命保険で準備する場合、利益が27,000万円

一方、純粋に生存退職金を支払う場合、利益が27,900万円

 

となります。

 

10年間トータルで考えた場合、生命保険で準備しない方が900万円手元にキャッシュが多く残る、というわけです。

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ここにそれぞれ法人税がかかってくるわけですが、10年トータルで見ると、どちらが有利かは一目瞭然ですね。

 

さらに、

生存退職金だと、役員退職時期をあらかじめ決めておかないといけません。


ただでさえ、満額戻ってこないのに、返戻率のピークを超えると、さらに返戻金が減ってきます。

そして、返戻率はそもそも100%を割ります・・・

 

保険料を支払えば、もちろん全額損金算入(つまり経費)となり、
戻ってくるときに役員退職金とぶつければ、益金(つまり保険金収入による収益)が相殺されて、税負担が軽くなる

との理論なのですが、
そもそも通年してみると、返戻率が割り込んでいる分だけ、損しているということに気付くはず。

 

1-9年目の、短期的な納税は少なくなる一方、その分キャッシュアウトがあっていることをしっかり見ていますか?
10年目の退職金支払いも、ただ返戻金と同額の退職金をぶつけたにすぎません。

 

実質的には、退職金を生命保険で準備することは【ソン】と言えるでしょう。


しっかりと本質をとらえていきたいものですね。

 

 

 

 


今日は、中華料理のランチ。

 

定食に加えて、セットでついてくる唐揚げや、回鍋肉・・・

 

つい手が出てしまうところですが、本質的にソンかトクかをしっかり見極めたいもの。

 

 

 

そんなんじゃ、美味しい料理も台無しかも・・・

 

ほどほどにいきましょう(汗)