微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

もしも!の時の税務的な保険です。

「まだ3ヶ月分も入ってきてないのに・・・!」
商談が成立して、ひと安心。
でも、肝心のお金が入ってこない!
・・・なんてことがあったら本末転倒ですよね。
私のお客様からも上のようなセリフが聞かれました。

せっかく成約につながっても、手形入金や回収サイトの長い売掛金があると、お金は入ってきません。
とは言うものの、税金を計算する上では、成約して納品したりサービスの提供が終わっていたりすれば、売上を計上しないといけません。


お金が入っていなくても、その分の税金は支払わないといけないんですね。
でも、万が一入ってこなかったらどうするの?
そんなリスクに対して、税務署が認めてくれている規定があります。
それが「貸倒引当金」というもの。

f:id:everydayrunchange:20160928190828j:plain

1.少し保険的な経費として認められる
個人事業では、一部の業種を除き、期末時点の債権(売掛金受取手形など)に対して、5.5%の経費を作ることができます。
この5.5%というのが「もしかすると回収できないかもしれない」という可能性に対する保険のようなものと考えていただけるとよいかと思います。

 

2.大きなメリットは初年度のみ
貸倒引当金は、期末債権に対して設定できます。
これは貸倒引当金を設定した初年度の効果は大きいですが、債権に動きがなければ翌年度以降の効果はありません。


例えば、初年度に1,000万円の売掛債権があったとしたら、設定できる貸倒引当金は1,000万円×5.5%=55万円
仮に2年目も同じ1,000万円の売掛債権の残高だったとしたら、2年目に計上できる金額は0円となります。
あくまでも、前年に対して増えた部分を経費化できますよ、という規定なんですね。
逆に、もし2年目に売掛債権が減ったとしたら、経費のマイナス。つまり、利益の方に出てしまいます。

 

このように、もしもの時のために、「貸倒引当金」が税務上認められています。

何はともあれ、入金がないことは本末転倒。
まずは契約にあたりしっかりとした条件で交渉に臨みたいものですね。