微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

貯金しているだけなのに、税金が減っていく夢のようなお話。~その2~

個人事業主の節税と言ってまず第一に上がるのが、小規模企業共済。

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それと似たような国が作っている制度で、

「中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)」というものがあります。

 

倒産防止?節税?名前だけ聞くとなんのこっちゃですね。
この制度、読んで字のごとく、得意先が倒産して債権の回収が危うくなったらお金を貸してあげますよ、という制度なのです。
得意先が倒産して、自社まで倒産しないよう防止する、というのが主旨なんですね。
お金を貸すけど、そのためにはちゃんと掛金も払ってね、というイメージです。
ここまでは表向きの話。

 

これが一般的には節税として使われています。
簡単に言いますと、払い込んだ掛金が全額経費として認められます。
実質は単なる積立金です。
でも、小規模企業共済と同じように全額経費にしてくれるのです。
月5千円から20万円の範囲内で自由に掛金を選べます。

そして、一年分前払い(前納といいます)することができます。

 

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ですので、決算直前になり、利益が上がりすぎた・・・ということになっていたとしたら、この前納をすることにより、経費を作り出すことができるのです。
最大月20万なので、年間で240万円分を前払いすることにより、その240万円を経費にできます。
個人事業主は、事業所得の経費として計上できます。(小規模企業共済は所得控除でした。控除する箇所が異なります。)

 

ただし、おいしい話ばかりではありません。
これを解約すると当然にお金は戻ってくるのですが、この戻ってくるお金全てが税金の対象となります。
個人事業主であれば「雑収入」として、事業所得の収益に計上されてしまいます。
小規模企業共済は、解約して戻ってくるお金に対して、「退職金」という性質上、ある程度優遇された決まり事がありました。
ところが、この倒産防止共済は、どうあがいても全額収益として税金の対象となってしまいます。
そういうことですので、積み立てるのと同時に、解約した時のことも考えていないといけませんね。
個人事業主であれば、たとえば大規模な修繕がある時に解約して、修繕費と解約による収益を相殺させるなど、
何らかの経費にぶつけるということが有効です。
この点法人だと、役員の退職金とぶつけたり、何かと使い途が考えやすいですね。
法人についてはここでは述べませんが。

 

その他にも40月以上積み立てていないと全額戻って来ない、
最大800万円までの積み立てが限度である、
解約するときは、全額を解約しなければならない、
などという制約もあります。

 

いずれにせよ、加入する時は税理士に相談して、解約した時のことも視野に入れて検討した方がよいですね。

うまく使えば、余計な税金を払わずにお金を残すことができます。