微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

消費税は!?個人と法人の検討。

個人事業者か法人か。
これを考える前に、まずお伝えしたいことがあります。

それは、「消費税」のことです。
消費税は、売上先から預かった消費税から、
事業に関して自分が支払った消費税を差し引いて納付する、という仕組みです。

例えば、
年間の売上高が1,080万円、仕入高が648万円
とすると、
この消費税部分・・・売上高80万円ー仕入高48万円=32万円
を国に納付することになります。
その他、交通費や電話代などで支払った消費税があれば、それもこの32万円から
差し引くことができます。

いずれにせよ、消費税の納税は事業主にとってかなりの負担です。
そして、消費税について、その取引が消費税的に課税なのか非課税なのか、
といったことを、逐一帳簿に記載していかないといけません。

起業1年目でそんなことができるでしょうか?
普通は事務作業的に考えても、かなり難しいですよね・・・
消費税の作業に追われて、本業が手につかなくなってしまうことも多くあります。
そこで、国側もこういった事情を考慮して、
起業1年目は「免税事業者」でいいですよ、といったことを認めてくれています。

ただし、資本金が1,000万円以上である法人は例外です。
資本金をそれだけ準備できるのであれば、1期目から課税事業者でいいよね?
という規定がありますので、法人を設立する際は、この資本金にも十分注意してくださいね。

資本金が1,000万円未満である法人と、個人事業者という前提でのお話ですが、
まず起業1年目は免税です。
そして、消費税で「課税事業者(=消費税を払わないといけない人)」になるか
どうかの判定は、
2期前の売上高が1,000万円を超えているかどうかによって判定します。
よって、個人事業者は基本的に1、2年目は免税事業者、1年目の売上高が1,000万円を超えていれば、3期目より課税事業者となります。
(2年目以降は、前年の1月1日から6月30日の半年間の課税売上高が1,000万円を超えていること、同じ期間の給料の支払額が1,000万円を超えていることのどちらも満たしてしまうと、たとえ2年前の課税売上高が1,000万円以下であっても課税事業者となります。)

いろいろ例外はありますが、まだ事業がそこまで大きくない起業戦士であれば、基本的に1、2年目は免税となってきます。

そして、個人事業者と法人は別物。
法人は、法律によって特別に人格を与えられた人。
これを消費税で利用していくわけです。

どういうことかというと、1、2年目は個人事業者で事業をして、3年目からは法人を設立して、3年目を法人の第1期とするわけです。
するとどうでしょう?
法人は上に書いたように、別の人。
個人事業者で、1年目と2年目の2年間、
そして法人の1期目と2期目でも免税事業者となります。
最大4年間、課税売上高が1,000万円を超えていても、
免税事業者でいられるわけですね。

ここで、個人事業者は◯年目、法人は◯期と書いていることには意味があります。

個人事業者は、以前も書いたように税金の対象となる期間は
1月1日から12月31日までの暦年、
法人は、任意に決めた期間となります。
この任意・・・自由に決められる期間は、設立第1期は1年未満になることが多くあります。

どういうことかというと、
2月に法人を設立して、何らかの事情で3月を決算期としたい。
とすると、2月から3月までの1ヶ月のみが第1期となります。

そして、消費税の考えでは、法人は2期前の課税売上高でその期が課税事業者であるかどうかを判定します。

すると・・・上の例では、
1期目が1ヶ月

2期目は12ヶ月
3期目は1期目の課税売上高で判定しますので、1期目の課税売上高が1,000万円を超えていると、3期目から課税事業者となります。
期で考えると、「そりゃそうだ」なんですが、免税でいられる期間が13ヶ月しかないわけです。

これを、2月に設立して1月決算の法人とすると、
1期目が12ヶ月
2期目も12ヶ月となり、
24ヶ月間免税事業者でいられるわけです。

ちなみに、1期目が1ヶ月しかない場合、
「そんな、たった1ヶ月で売上が1,000万円も超えないだろ・・・」
と思ってしまいそうですよね。
でも、法人は「年換算」という考えがあります。
例えば、1期目の1ヶ月の課税売上高が100万円であった場合、
100万円÷1ヶ月×12ヶ月=1,200万円となり、1,000万円を超えてしまい、
3期目より課税事業者となってしまいます。

どうでしょうか?
消費税は、預かっている税金だから払うのは当然!という考えは全くもってその通りです。
でも、国側が事務作業などの事情を考慮して、法的に上に書いたような免税事業者の考えを作っています。
これを利用しない手はありません。

消費税にとらわれて、本業がおろそかになってしまうと本当に本末転倒です。


目指すべきは、まずは本業での成功。
そうすると、自然と消費税はもちろんのこと、その他の税金の支払いもできるようになってきます。

だから、合法的に消費税の免税事業者でいることは悪ではありません。
この免税事業者の期間にしっかりと本業での力をつけて、
がっちり儲けていきましょう!!!