微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

赤字であれば税務調査に入られない?

おはようございます。

【起業準備中から起業5年目までの経営ドクター】
税理士の村田佑樹です。

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■「きょうは300円のビスケットをかったから、
 ここに300ってかけばいいんよね。」


 我が家では、

 『自分のお小遣いをお小遣い帳(もどき?)
 に記録して、何となくでも
 お金の増減を把握して、
 しっかりと自分でお金を管理していく』

 という取り組みをしています。

 その中で、

 【300円の現金を使った際は
 その300円分のビスケットが手に入る】

 といういわば『原因と結果』のような
 イメージをしてもらうということが
 大切なんですね。

 当然企業の会計においても
 それは同様であり、
 我々税理士が会計帳簿を作成する際は、

 【必ずこの『原因と結果』を把握していく】

 ということになります。


■そして、


 この増減する項目は大枠として
 5個あることになるわけです。

 具体的に言えば

 【資産】【負債】【純資産】
 【収益】【費用】。

 この5項目なんですよね。

 つまり

 【会計は、必ずこの5項目の
 増減の組み合わせにより作られている】

 ということになるわけです。

 よく会計で『借方』や『貸方』
 と言われますが、

 簡単に言えば
 『借方は左側に入る項目』で
 『貸方は右側に入る項目』のこと。

 そしてそれぞれの項目ごとに
 ノートが作られており、
 そのノートを見ることによって
 それぞれの詳細な情報が分かる

 ということになるわけです。
 ちなみにこのノートのことを
 『総勘定元帳』と言います(^^)。

 このノートを集計したものが
 いわゆる『試算表』と言われ、
 さらにこれを『貸借対照表損益計算書
 に分離していくことになるんですね。


■これらのことを念頭に置いて、
 通常の取引を考えてみることにします。


 よくある例として、

 【法人にそこまで利益が上がっておらず、
 現金が少ないため、その代表者が法人に
 個人の財布より現金を入れる】

 ということがあります。

 そこで上述した
 会計のルールから考えると、

 【代表者からお金を借りた】

 という『原因』があって、
 それに対するものとして

 【現金が増える】

 という『結果』が起こっている。

 これを会計の表現にすると、

 【左側が『現金』で右側が『役員借入金』】

 ということ。
 専門的に言えば、

 【借方が現金、貸方が役員借入金】。

 つまり現金が増えた要因は
 この『役員借入金が増えた』
 ということによる

 という状況ですね(^^)。


■このように、


 【必ず1つの取引に対し2つの項目を使って
 会計の表現をしていくことになる】

 というわけです。
 いわゆる複式簿記というのはこのこと。

 したがって、どんな取引であっても
 必ずこういった複数のノートに
 その内容が記載されるわけですので、
 言って見れば

 【ごまかしようがない】
 
 ということになるわけですね。

 ちなみに『現金』は
 上述した5分類で考えると

 【資産】

 となり、

 『役員借入金』については
 将来法人が、その役員に対して
 その借入金を返済しないといけない
 義務を負っている

 ということから

 【負債】

 ということになります。


■そしてここからが
 今日の本題なのですが、


 『法人に利益がない状態で
 代表者が法人に現金を入れている』

 という状態。

 当然利益が上がっていませんので、
 法人から役員報酬(給料)を取る
 ということも難しい状況。

 それにもかかわらず、
 代表者個人には多くの現金があって、
 それを会社に入れている

 という状況もまたあるわけです。

 そのような状況が
 決算書に反映されているとしたら、
 どのようなことが想像されるでしょうか。

 一般的に考えて、
 もしかするとのお話ではありますが、

 『法人の帳簿に上がっていない
 現金売上などを
 その代表者個人が個人的にもらって、
 会社の帳簿に計上していない』

 という可能性もなきにしもあらず…
 ではないでしょうか。

 当然、個人がお金を抜いてしまえば
 法人の現金が増えていない状況ですので、

 上述した会計のルールからすると、
 それに対応する売上高も増えていないため、
 法人の会計の情報には
 何らその取引に関する記載がない

 ということになります。

 その一方で、

 【代表者が法人に現金を入れている】

 という事実があり、
 そしてその現金を経費として
 使っている状況なので、

 役員借入金が増えて、当然経費も増える。

 このことにより、

 【法人で儲かっていないのに、
 どうしてその代表者にそんなに
 個人的な資産が存在するのだろう】

 という疑いの目を向けられるケースが
 往々にしてある

 ということなんですね。

 したがって、

 「利益が上がっていない状況であったら
 税務調査に入られない」

 と考えているとしたら、
 それは誤りであると言えます(汗)。

 税務署は、そういった

 【売上の除外】

 というものに対しては
 かなり厳しい目を光らせていますので、
 そのような甘い話ではない

 ということなんですね。

 

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■いろいろ述べてはきましたが、


 そのような形でいわば
 『脱税』をするのではなく、

 【しっかりとそういった
 現金取引があったとしたら、
 これを正直に(当然ではありますが…)
 法人の売上に計上するとともに、

 適正な申告をして、
 適切に納税するとともに、

 金融機関からの良い評価を受け、
 しっかりと融資をしてもらい、

 その融資のお金をもって
 経営が成長するスピードをアップしていく】

 ということが経営においては
 健全な考えであるように思う次第です。

 今日は、税務調査などで
 いわゆる都市伝説的なものを
 多く聞く状況でしたので、

 そんなに甘くはないよー、
 ということをお伝えしたく(汗)、
 記事を書かせていただきました。

 ごまかしがきかないこの会計の仕組みは
 よく考えられたものだなと
 つくづく感心するものです(^^)。

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《本日の微粒子企業の心構え》


・会計は、
 『一つが増えれば、もう一方も増える』
 といういわゆる

 【複式簿記

 の形式をとっているため、
 どうしてもごまかしがきかない
 仕組みになっているものである
 と心得ておくべし。


・場合によっては現金売上を除外して、
 代表者が会社の経費を多額に立て替えている
 ということも考えられ得る。

 そして、税務調査ではその

 【現金売上の除外の可能性】

 にも目を向けられるため、

 仮に利益が上がっていない状況であっても
 税務調査に入られる可能性はある
 ということもまた心得ておくべし。


・そもそもの経営の考えとして、

 【しっかりと利益を出し、
 適切に納税をして、融資をしてもらい、
 いわば他人のお金を利用させてもらう形で
 その経営の速度を上げて、
 より多くの利益を社会に還元していく】

 という考えが最も健全であるのでは
 ないだろうか。


今日も最後までお読みいただきまして、
ありがとうございました。

 

これまで書いてきた記事は、
バックナンバーとして、
私の公式HPの【ブログ】に
アップしていますので、
よかったらご覧くださいませ。^^

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