意外と恐れ知らずの「交際費」
「え~!それって交際費なん!?」
我々の日常業務で、まぁよくある会話。
先日お会いした社長とのお話。
この方は社員10名ほどの建設業の会社の社長。
領収書を見ていると20万程の飲食店(俗にいう「キャバクラ」)の領収書がありました。
お話を伺うと、よく頑張ってくれているA君に食事をごちそうしたらしいのです。
食事以外のごちそうもありそうですが・・・
「会社やと従業員との食事も福利厚生費で落とせるからいいよね~」
確かに、おっしゃる通り。
従業員さんのがんばりに応えて、食事をごちそうするなど従業員さんの士気も上がっていいことですね。
でも、10人ほどいる従業員のうち、特定のA君のみを食事に連れて行くと・・・?
なんとなくお分かりでしょうか。
これは福利厚生費とは言えません!(残念ですが・・・)
従業員であろうと誰であろうと、特定の人だけを特別扱いすると、それは平等じゃないよね?ということで、交際費となります。
場合によっては、その飲食はもらった給料の中から払うべきだろう、ということで、「給与課税」となるケースもあります。
交際費・・・なんか響きが悪いですよね。
そこで、冒頭のような社長からのセリフが飛び出してきたわけです。
ただ、交際費という響きは悪いものの、実際はそこまで交際費は悪人ではありません。
今の税法の世界では、年800万円までの交際費なら、全額経費として認めてもらえます。
年800万というと、月で66万。
そんなに使いますか?通常だとそこまでいかないですよね。
なので、社長がビックリするほど大げさな話ではないということです。
もう少し突っ込むと、この年800万円のラインは、
資本金が1億円以下の法人に限定されます。
ただし、資本金が1億円以下の法人でも資本金が5億円以上の法人がその法人を100%支配していれば、その資本金が1億円以下の法人は800万円のラインは関係なくなります。
言い方を変えると、交際費は全額経費として認められなくなるということ。
ただ、多くは資本金1億円以下の中小企業ではないでしょうか。
そうなると、年800万円まではやはり大丈夫なのです。
ちなみに、H25年の改正前は年600万まででした。
でも、年600万まででもそのうち10%は経費とならなかったのです。
例えば、年500万円の交際費を使ったとしましょう。
現状では、500万全額経費。
H25年以前は、500万×10%=50万が経費とはならなかったのです。
逆に言うと、50万だけは税金計算の対象でした。
仮に法人税等の率が30%とすると、50万×30%=15万。
500万の交際費を使っても、税負担が15万出ていたということです。
今はこの15万がゼロになっています。
大きいですよね。
この600万の前は、400万の時代がありました(汗)
要は、交際費と言ってもそこまで怖がることはないですよ、というお話です。
ただ、税制はコロコロ変わりますので、あくまでも「今は」恵まれているということはしっかり押さえておきたいところ。
万一年800万を超えそうな状況であれば、顧問税理士と今の交際費の金額をしっかり確認していくことをオススメします。
まぁ、交際費とは言っても実際は個人的なものが含まれていることもしばしば(汗)
・・・入れたくなる気持ちもわかりますけどね・・・
だって、人間だもの。