微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

サラリーマンのオトク。「特定支出控除」で節税。

とある方との会話。

「○○の資格を取るための講座受講料が3万もするって!高いよね~!」
3万・・・それは高いのか(!)

私は10年を超える税理士試験の受験生活で専門学校に多額のお金をつぎ込んできたモサ。
そこからすると3万って・・・(泣)

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お金に関する感覚は人それぞれですね。
私は受講料に関して、ハッキリ言っておかしな、あってはならない感覚になっています(汗)

 

税理士試験の受講料って・・・
意外と高いのです。
税理士試験は5科目に合格しなければならないのですが、一気に5科目の勉強をしようとすると専門学校に70万近く(!)も払わないといけません。
もちろんピンキリではありますが・・・
これがなかなかスムーズに合格できずに、受講を重ねると・・・考えただけで恐ろしいですね。
もうやめます、考えるの。

 

さて、この受講料。
基本的に自腹ですね。
勤務先が負担してくれるなんてことは・・・普通あり得ません。

 

ただ、この資格取得費がサラリーマンの経費として認められるようになったことは、少なからぬ人がお聞きになったことがあるでしょう。
今日はそのサラリーマンの経費・・・「特定支出控除」についてのお話です。


1.サラリーマンの経費
サラリーマンは基本的に給与収入のみの人。
給与収入であれば、会社が年末調整をして年間の所得税を計算してくれるのですが、この給与収入に対する経費は税務署に決められています。
この経費のことを「給与所得控除」と言います。
→ No.1410 給与所得控除|税について調べる|国税庁

 

要は、給与収入の経費です。
通常の事業であれば、

「売上-経費=利益(所得)」
これが、サラリーマンになると、
「給与収入-給与所得控除=給与所得」
となるわけですね。

 

2.決まっているから動かせない・・・が?
この給与所得控除。
税務署が勝手に決めているため、動かしようがありません。
でも、この常識をいい意味で覆してくれたのが「特定支出控除」というわけです。

 

3.特定支出控除の範囲
今まで給与所得控除という決まった経費しか認められていなかったのですが、これに上乗せして、「特定支出控除」という経費が認められるようになりました。
「税務署が勝手に決める経費+上乗せ経費」がサラリーマンの経費に、というわけです。
具体的にどのようなものでしょう?


① 通勤費
② 転居費
③ 研修費
④ 資格取得費
⑤ 単身赴任の帰宅旅費
⑥ 本代、服代、交際費→⑥は合計額が65万という限度額があります。)

 

4.足切りの金額がある
この特定支出控除。
全額が認められるわけではありません。
足切りがあって、「給与所得控除の2分の1」を超えた分だけが、特定支出控除となります。

 

例えば、給与所得控除が200万円で3.①~⑥の支出が120万円であったとしたら、超える20万円(120万円−200万円×1/2)が特定支出控除。
節税になるのは、この20万円に対する税率部分ですね。
仮に所得税率10%の人であれば、20万円×10%で2万円が節税となるわけです。
これに住民税10%も考えると、合計で4万円(20万円×20%)ですね。

 

5.勤務先の証明が必要
これがちょっと厄介。
これを受けようとする際は、勤務先の証明が必要となります。
イヤですね・・・
さらに面倒なことに様式が決まっています。

給与所得者の特定支出控除に関する証明書の様式等の制定について|申告所得税関係 個別通達目次|国税庁

 

6.確定申告を
特定支出控除を受けようとするためには、年末調整ではムリなのです。
自分で確定申告をしないといけません。
この確定申告をする時に、領収書など金額を証明するものの添付をお忘れなく。

 


というわけで、サラリーマンにもオトクな情報でした。
資格取得や営業のためのスーツなど、こういった支出が多いサラリーマンの方は必見です。

 

 

・・・税理士受験生活時代にこの規定ができていれば・・・
と悔やんでなりません(泣)