微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

節税は入口より出口を考えるべし

「いきなりこんな税金が来ても払えない・・・」
なんとも切実なこんな声。

この方、倒産防止共済(経営セーフティ共済)に加入していて、この度これを解約したとのこと。
↓以前のブログでの紹介記事です。↓

everydayrunchange.hatenablog.com

払った時は全額損金になって節税ができます。

その一方で、解約した時は全額益金となって、税金が出てきます。


「鬼は外~!」と自分の真上目がけて投げた豆は、必ず自分の顔に当たってきます。
当たり前のことですね。これと同じことなわけです。

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つまり、全て通して800万円の共済掛け金を払って損金を生み出していたとしても、800万円の戻りがあればこれが全て益金となり、800万円に対する税金がかかってくるということです。
まぁ、こう聞くと当たり前でしょうか。


入口で損金になれば、通常は出口で益金が出てきます。


逆に損益に関係ない取引はどうでしょう?
例えば、銀行などからの借り入れ。
入口は借り入れた時。
借り入れたお金は返すものなので、収益(益金)ではありませんね。
出口は借入金を返す時。
これも単なる返済なので、経費(損金)ではありません。

 

大抵の場合、損金になる節税は、将来の益金にもつながります。
倒産防止共済はもちろん、全額損金タイプ又は2分の1損金タイプなどの生命保険金もそうでしょう。
つまり、すべてを通してみると、損益トントンなわけです。
損金にして税金の払いが少なくなっているうちはいいのですが、戻り金があって、これを益金にする時が何ともつらい時。
税金の支払いが出ますからね。

 

これを「課税の繰り延べ」といいます。
要は、今課税されるべきものをいったん損金にして税金の支払いを先延ばしにしているに過ぎないということ。
これを利用するものは、その時だけの「節税」ではありますが、その分戻ってきた時税金を支払わないといけないので、結果として単なる「税金支払いの先延ばし」なわけですね。


入口があれば出口もある。
というわけで、出口のところに焦点を当てていく必要があります。

 

つまり、出口で益金が発生するタイミングで意図的に損金を生み出すのです。

一般的に考えられるのは、
・退職金の支払い
・工場、店舗、不動産物件、固定資産の大規模な修繕
といったところでしょうか。


仮に、500万円の倒産防止共済の解約金が出たとします。
本来なら500万円の益金。
ここに、同額500万円の退職金が出たとしたら、益金500万円と損金500万円をぶつけて、課税される金額をゼロにすることができますね。

このように、しっかり出口を意識していなければ、お金が戻って来た時に大きな痛手となります。
しかしながら、少なからぬ税理士がコミュニケーション不足のため、このようなことをお伝えできていません。
定期的に会って膝を突き合わせてお話していれば、こんなことにはならないはずなのに・・・という想いが出てきてならないのは私だけでしょうか。

 

もちろん、本当に支払う税金が減っていく対策もあります。


「節税」と聞いたときに、「トータルでどうなの?」「何か反動はないの?」ということはしっかり確認していきたいもの。


世の中そんなにうまい話はないわけですね。