微粒子企業の身の丈ご機嫌ビジネス

【毎日配信】税理士の視点から見る経営や税務のことを書かせていただいています(^^)

期末に大量に買っても節税にはならない!?

 

もう月末ですね。
特に8月決算の会社は少しピリピリしている時期ではないでしょうか。

 

赤字であれば、何もせず決算を迎えればいいだけ(?)なのですが、利益が出ており税金が出そうな会社は何か節税する方法がないかと考えを巡らせます。
そこでよく思いつく人が多いのが、
「あっ、今のうちになんか買えばいいやん!」
ということ。
でもちょっと待ってくださいね。
本当にソレ、大丈夫ですか?

 

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1.消費税の面では◎
消費税で本則課税方式を選択している場合、預かった消費税から支払った消費税を差し引いて国に消費税を納付していきます。
(↓参考記事↓)

everydayrunchange.hatenablog.com

そこで、期末に大量のモノを買って、消費税の納税を少なくしよう!という考えはOKです。
消費税は実際にモノを買って、それが手元に届いて期末までにそのモノが使える状態であれば、支払った消費税として、その期に納付する消費税を減らすことができます。
ですので、消費税的には大量購入で節税はできます。
ただ、何度も言いますが手元にモノがないとダメですよ!そこだけはご注意を。

 

2.法人税所得税(住民税)では△
では、消費税以外の法人税所得税ではどうでしょう?


①大量の仕入
小売業を営む事業者が、期末なので・・・ということで、商品を大量に仕入れたとします。
これはどうでしょうか?結論から言うとアウトです。
仕入が経費として認められる条件をご存知でしょうか?
それは、「売上と対応している」ことです。
例えば、10個の商品を売るために、10個の商品を仕入れたとしましょう。
10個売れるはずが、期末時点で7個しか売れなかった。
すると3個は在庫ですね。
では、売上と仕入が対応している個数は何個でしょう?
7個売れたものだけが、7個の仕入と対応していますね。
残りの3個は対応していない。
これが、「在庫」となります。
この「在庫」とは、「期末に実際ある商品をカウントして、現実に手元にあったもの」のことです。(この商品をカウントすることを「棚卸」といいます)
ですので、3個分を仕入高として経費計上していたとしても、期末には在庫として経費から抜くことになります。
在庫=利益となるわけです。この結論だけはしっかり押さえておきたいものですね。


②固定資産の購入
青色申告をしている場合、30万円を超える固定資産は減価償却をすべき資産として、経費でなく資産として計上します。
資産として計上して減価償却費として各期に経費化していくわけですね。
減価償却費にはなるのですが、期末に買うと、1ヶ月分しか経費になりません。
例えば、100万円の耐用年数が2年である資産を買ったとしても、100万円÷2年×1/12=約4万円の減価償却費しか計上できないわけです。
あまり節税効果はないですね。


③備品の購入
期末に切手を買ったり、文具を大量に買ったりするとどうでしょうか?
これは、「買ったけど、実際使ってないでしょ?」ということで、「貯蔵品」という資産として捉えられてしまいます。
①の在庫と同じような考えですね。
期末使っていないものを経費から抜かないといけません。
貯蔵品=利益という結論ですね。

 

節税のため!ということで、いろいろお金を使っても、税金の法律はなかなかそれを許しません。
お金を使う前に、それが本当に経費になるのか!?ということを、しっかり自問していただきたいものです。